歯の痛みは、
象牙質:エナメル質の中にある硬さと柔らかさを併せ持つ組織
歯髄:歯の中にある神経
歯根膜:歯と骨をつないでいる組織
の3つの部分から痛みが生まれます。
その部分にある痛みに反応する種類の神経に刺激が加わることによって、痛みが生じます。
それぞれ、特徴的な痛みが出ますから、痛みの程度、頻度、特徴で歯科医は、どこでその痛みが起こっているのか推察しています。
象牙質
象牙質の痛みの特徴は刺激に対して、反応が早いこと、冷たいもので反応が出ることです。すぐ痛みがでる。チカっと痛む。冷たいものを飲んだり、冷たい風をかけると歯がすぐにしみるなどです。
実は、この痛みのメカニズムは未だ分かってません。現在、有力な説は、象牙質は円錐形の細い管が集まった構造なのですが、その中にある液が乾燥したり、動いたりすることで神経細胞を刺激して痛みを生じると考えられてます。
なぜ、分かっていないかというと、象牙質に直接、麻酔薬を塗っても麻酔が効かず、痛みが出ること。象牙質の管の中には、象牙芽細胞という細胞が入っているのですが、それが直接、痛みには関与していないこと。また、象牙質の管の中に痛みを感じる神経が一部、入っているのですが、短すぎるので、それが直接、痛みに関与しているとは考えづらいことが挙げれます。
歯髄
歯髄の痛みの特徴は、鈍い痛み。冷たいもので反応しますが、特に温かい飲み物、刺激に対して反応します。痛みの種類は脈動性でズキズキ痛むことが特徴です。また、もう一つの特徴として、健全な歯は全く反応がないということです。つまり、歯髄の損傷や炎症があった時だけ痛みが出るということです。
歯根膜
歯根膜の痛みの特徴は、象牙質と歯髄の痛みの特徴の両方を併せ持ちます。神経の無い歯にも関わらず痛くなった場合、多くは歯根膜に炎症が起こってます。そのような歯は、かむとすごく痛いという症状があらわれます。また、歯の詰め物やかぶせが高い場合におこる、歯がしみる、噛むと痛いという症状も、多くは歯根膜の痛みになります。
歯が原因で起こるの3つの痛みに関して、紹介させていただきました。
実際には、それらが複合的に起こるので、冷たいものがしみていても、歯髄まで虫歯や炎症が及んでいたり、歯茎の炎症と歯の炎症が同時に起こったりするので、一概にそうならないことも多々あります。そのために、レントゲンを撮ったり、歯に電気刺激や、冷たい風、冷やしたスポンジを当てたり、噛み合わせをみたりと検査することで、原因を特定していきます。
また、厄介なことに、歯が原因と思いきや、歯が原因でない、周りの筋肉や神経、全く別のところが原因で歯に痛みを生じることがあるので、歯科医院や、内科、耳鼻科などの病院に行って正しい診断のもと、正しい治療を受けることが重要になります。